MODEL PLAN
第1回「瀬戸内国際建築デザイン実施コンペ2025」学生部門 審査員特別賞1
家の中の家具やモノには、人を引きつけるジュウリョクがある。
夜はぐっすり眠るためにベッドに横になり、作業に集中するために机に向かう。
しかし、朝になるとなかなかベッドから出られなかったり、気分転換をしたくても戻ってこられなくなりそうで机から動けなくなったりすることがある。
はじめは家具やモノの魅力に引き寄せられてここに来たけれど、いつのまにかそのジュウリョクに自分のふるまいを決められていたのかもしれない。
そうなってしまう理由は、その室が他の室に対して閉ざされていて、限られたジュウリョクの影響しか受けていないからではないだろうか。
個々のジュウリョクから自由になるためには、家の中にある他のさまざまなジュウリョクに惹かれるようになればいい。
複数のジュウリョクが重なり合うことで、朝食を準備する音や匂いに誘われてべッドから脱出しやすくなったり、気分転換をしてもまた机に戻ってこられるようになったりする。
家の中でふるまいを気軽に切り替えられるようになれば、その時の気分に合わせて居場所を選び、家の中を漂うような暮らしができるだろう。
この能動的な暮らし方を支えるのが、私たちが考えた「重力から自由になる家」である。