MODEL PLAN

モデルプラン

現代百姓のための民家

第1回「瀬戸内国際建築デザイン実施コンペ2025」フリーランス部門 最優秀賞

現代百姓のための民家

これからの民家について考えた。

日本の古い民家を訪れると先人の暮らしの息遣いが、足を踏み入れた途端に伝わってくる。
茅葺の大きな屋根をくぐると、力強い軸組がつくる大きなワンルーム的空間があり、壁には農具が掛けられていて、脱穀機がある。
その横にカマドがあって、奥にはイロリがあって、といったように、生活の風景が家具や建具によって、ゆるやかに分節されながら有機的に連なっている。

この家はそうした日本の民家の風景・構造を念頭に設計されている。
4-5人の家族が暮らすための諸室のほか、それぞれが仕事をするための書斎、木工など軽作業ができる土間、季節が感じられる庭、
そして生活を最低限支えるだけの畑などからなっていて、それらは卍型に組まれた大スパンによる無柱のワンルーム空間の下に、家具的な設えとしてつくられている。

本来ひとつであった仕事と暮らしの場が、リモートワークなどによってふたたび統合されたとき、現代百姓としての私たちのこれからの暮らしの場はどんなものなのか。

このプロジェクトはそんな問いへのひとつの提案である。